有料老人ホーム 東京のノウハウ
成長の中では、生活の質の改善、住宅と住環境の向上が鍵になる。
問題は、バブルの清算の後の姿である。
高度経済成長は終意している。
四〇年間の経済成長率の推移を見ても、先進国の歴史を見ても、再び高度経済成長に回帰することはあり得ない。
二一世紀的の長期的な成長力は、せいぜい二%であろう。
二%の成長の中で過去の負債を支払いつつ、日本人の生活の質をどうやって向上させていくかを考えることが肝心なのだ。
その牽引力になるのは、日本人が二〇世紀に残してきた住宅と住環境の向上という問題を解決することしかないのではないか。
もはや消費にも設備投資にも経済を引っぱる力はなかろう。
暖衣飽食極まり、グルメブーム、ブランドブーム、ダイエット騒ぎ、こんな状況で、衣食が消費を増やせるわけもない。
いま大切なのは、食事をする場所、衣類をしまう空間を充実させることである。
本屋を見ても文摩本ばかり売れるのは本を置いておく場所がないからだ。
本を売る、家具を売る、大型テレビを売るにはまず空間を準備しなければならない。
良い住宅、良い住環境、広い住宅、便利な住環境が要らない人は一人もいない。
問題は二%の成長で豊かな住宅と住環境を確保するにはどうしたらいいのかということである。
三ニ〇〇万円で都心に一〇〇坪のマンションが買えるようにする低成長のなかで住宅需要をコンスタントに維持するには、より多くの人が市場に加わって、住宅を購入する意欲と能力を持てるようにしなければならない。
積極的に買い換える条件をつくり出すことが必要だ。
その唯一の条件は、住宅価格がアフォーダブルな水準になることであり、住宅価格を上げて買い換えのコストを次の人に回すことではない。
付け回しではもう需要は生まれない。
収入の範囲内でより良い住宅に移れる条件を整備することである。
住宅価格の目標をしっかり持つことであり、アフォlダビリティlの基準を明確にすることが必要なのだ。
欧米との比較においても、住宅価格は年収の四年分以下で望ましい水準の住宅を確保でさることを目標にしなけれならないだろう。
都心市街地であれば、容積率二〇〇%、○○の床面積のマンションが、郊外であれば○○の敷地に○○の床面積の二戸建てが、年収の四年分で購入できる条件は何か。
東京圏の年収平均は八三〇万円、もっともこの収入がある人には、もう既に住宅を所有している人も含まれているから、これから住宅を購入する人の年収はこれより低いが、仮に平均八〇〇万円だとしよう。
目標の住宅価格は三二〇〇万円ということになる。
住宅コストが単純に土地費と建築費から構成され、経費はその費用に含まれるとする。
建築コストは、二戸建てもマンションも国際比較から見てせいぜい一つ一五万円、坪五〇万円である。
建築コストはマンションで一五〇〇万円、二戸建てで一九五〇万円、従って土地代はマンションで一七〇〇万円、一戸建てで一二五〇万円となる。
一つ当たりの地価は、マンションでは三四万円、二戸建てで六・三万円が限度である。
都心都二三区部の住宅地の平均価格はぱあたり六〇万円、郊外の住宅地でも一つあたり二〇万円を超えている。
都心住宅地であれば、いまの地価公示価格の二分の一、郊外の住宅地では地価公示価格の三分の一になお下がらなければならないということになる。
住宅価格を三分の一にする方法がある欧米の諸都市の地価水準に比べて東京の住宅地価格は、国土庁の調査でなお一〇倍近い聞きがあることからすれば、この程度の地価の低落は当たり前なのかもしれない。
しかし、地価水準がここまで低下しなくても住宅価格を引き下げる方法は充分に用意されている。
これまで、さんざん論議されてきた土地対策を目的をもって総合的に有効活用することである。
前章で、定期借地権の話と容積率の規制緩和の話をした。
この手段をばらばらに使うのではなく、目標をもって利用する方向を打ち出してみることである。
都市型マンションとして、渋谷区辺りの中層三、四階建ての高級マンション、二〇〇%の容積率、建築単価二〇万円、土地代一〇〇万円、床面積○○のマンションを対象にしよう。
これがすべてのコストを負担する従来型の分譲マンションでは、建築費二〇〇〇万円、土地代五〇〇〇万円で七〇〇〇万円になる。
年収の一〇倍だ。
そこで、これまで検討してきた手段をこのマンションに使ったら住宅価格がどうなるか試算してみよう。
第一に、容積率を一・五倍の三〇〇%に緩和すれば、土地代は一二三三〇万円に減じ、マンション価格は五三三〇万円と従来型の七六%に安くなる。
第二に、定期借地権を使い、土地代は二〇%の保証金で済ますとすれば土地代は一〇〇〇万円に減り、マンション価格は三〇〇〇万円になる。
価格は、従来型の四三%に減る。
定期借地権には毎年に地代が必要になり、地代は年一〇〇万円、月に八万円程度。
それでも定期借地権の効用は大きい。
第三に、建築コストに三〇%の助成金を交付すると建築費は一四〇〇万円に減じ、マンションコストは六四〇〇万円に減るが、税金を補助した割には九一%にしか安くならない。
しかし、この手段をばらばらに使わずに目的をはっきりさせ一つのパッケージとして利用すると、どうなるのか。
建築コストは一四〇〇万円、土地代は六六〇万円の保証金を必要とするだけで、当初住宅コストは二〇六〇万円と従来型マンションコストの三〇%と大幅に低減することになる。
年一〇〇万円の地代が必要としても、従来型の五〇〇〇万円の土地代の購入費用の利子が四%だったとした場合の二〇〇万円に比べればはるかに安い。
土地政策をどうするかの政策論争はこれまで四〇年間、飽きるほど、山ほどやってきた。
その成果をうまく使えば、いまの地価水準であっても充分に豊かな住宅、住環境をアフオーダ.フルな価格で消費者に提供することができるのではないのか。
いまの経済で、いまの所得でもっと良い、もっと広い、もっと便利な住宅が誰にでも確保できるはずである。
日本経済の先行き、住宅不動産の先行きに不安を持つ必要はない。
われわれがこれまで考えてきた政策を、目的をはっきりさせた上で、総合的に着実に実行すれば明るい先が見えてくるはずである。
いまが知恵の出し所である。
官僚も、銀行経営者も早く元気になってその責任を充分に果たさなければ何のために存在しているのかわからないではないのか我が国経済に対する不良債権問題の悪影響を真に払拭するためには、不良債権を実質的に処理し、問題を解消させることが不可欠であり、そのためには、不良債権の背後にある担保不動産に関わる諸問題を解決することが必要である。
再開発の侭進、都市再構築のための土地需要の創出に係る思い切った措置を総合的に講ずることにより、土地取引を活性化し、不良債権問題を抜本的に解決する。
その際、土地は資源であるという発想に立ち、土地の有効活用やスペースの増大を図り、ゆとりある生活環境や経済活動空間の実現を併せて目指す必要がある。
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